
お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる、いわゆる「フラッシャー」と呼ばれる体質の方は、食道がんの発生リスクが非常に高いことが、多くの研究で明らかになっています。
特に注意が必要なのは、**「昔はすぐに赤くなったのに、飲み続けているうちに赤くならなくなった(お酒に強くなった)」**という方です。これは体質が改善されたわけではなく、体がアルコールの不快症状に慣れた(耐性がついた)だけに過ぎません。むしろ、飲酒量が増えることで、がんのリスクは加速度的に蓄積されています。
1. なぜ「顔が赤くなる体質」はリスクが高いのか?
アルコールが体内に入ると、以下のプロセスで分解されます。
- アルコール → アセトアルデヒド(毒性の強い発がん性物質)
- アセトアルデヒド → 酢酸(無害な物質)
この第2段階で働くのが**「ALDH2(2型アセトアルデヒド脱水素酵素)」**です。日本人の約40〜50%は、生まれつきこの酵素の働きが弱い、あるいは全く働かない体質です。
アセトアルデヒドの恐怖
アセトアルデヒドは、国際がん研究機関(IARC)で**最高ランクの「グループ1(ヒトに対して発がん性がある)」**に分類されています。分解が遅い体質の人がお酒を飲むと、この発がん性物質が長時間、高濃度で全身を巡ります。特に、飲食物の通り道である「食道」は、この毒素に直接、かつ繰り返し曝露されるため、細胞ががん化しやすくなるのです。
1. 【体質】アセトアルデヒドを分解できない
日本人の約半数は、飲酒で発生する発がん物質「アセトアルデヒド」を分解する酵素(ALDH2)の働きが弱い体質です。この体質の人がお酒を飲むと、毒素が長時間体内に留まり、食道の粘膜を攻撃し続けます。
2. 【飲酒】赤くなりながらも飲み続ける
「昔は赤くなったが、今は鍛えられて飲めるようになった」という方が最も危険です。体質は変わっていないため、飲酒量が増えるほど食道は大量の発がん物質にさらされます。
3. 食道がんの早期発見と最新の検査
食道がんは、50歳代から急増し、60〜70代でピークを迎えます。初期段階では自覚症状(飲み込みにくさ、しみる感じなど)がほとんどありません。
定期的な内視鏡検査(胃カメラ)の重要性
早期発見できれば、開胸手術をせずとも内視鏡治療(ESDなど)のみで完治を目指せます。
- NBI(狭帯域光観察): 特殊な光を当てることで、がん特有の血管パターンを浮き上がらせる技術です。従来の検査では見逃されやすかった平坦な早期がんも発見しやすくなっています。
4. 今日からできる予防と対策
「自分は赤くなる体質だ」と自覚している方は、以下の対策を徹底しましょう。
- フラッシャーの方は少量でもがんリスク 少量でもリスクが生じるため、断酒を検討することが最大の予防です。
- 熱すぎる飲食を控える 熱いお茶やスープ、辛すぎる刺激物は食道粘膜を慢性的に傷つけます。これも食道がんのリスク因子です。
- 喫煙もリスク 喫煙も独立した食道がんのリスクです。
医師からのメッセージ
何よりも大切なのはご自身の体質を知ることです。 「赤くなるけれどお酒が好き」という方は、「がんのリスクを抱えながら飲んでいる」という自覚を持ちましょう。食道がんは50歳から増加しはじめます。症状がなくても50歳を過ぎたら一度は内視鏡検査を受けてください。
早期発見・早期治療こそが、あなたの健康な未来を守る唯一の方法です。
