最近、清涼飲料水やダイエット食品に含まれる人工甘味料「アスパルテーム」の発がん性について、ニュース等で不安を感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、国際機関の発表に基づいた正しい知識と、消化器内科の視点からのアドバイスをお届けします。
1. IARCによる「グループ2B」分類とは?
2023年、WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)は、アスパルテームを**「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」**に分類しました。
これを聞くと不安になりますが、実はこのカテゴリーには以下のものも含まれています。
- 携帯電話の電磁波
- アジア風の野菜の漬物
「がんを引き起こす証拠が限定的である」という分類であり、「普通に食べていればすぐにがんになる」という確定的な証拠はないのが現状です。
2. 安全な摂取量は?(JECFAの見解)
一方で、食品添加物の安全性を評価するJECFA(合同食品添加物専門家委員会)は、**「これまでの許容一日摂取量(ADI)を変更する必要はない」**と再確認しています。
- 許容一日摂取量: 体重1kgあたり40mg
- 具体例: 体重70kgの成人の場合、500mLのペットボトルで毎日約9〜14本(約4.5〜7リットル)以上を飲み続けなければ、安全基準を超えることはありません。(※一般的なダイエット飲料の含有量に基づいた目安です)
日本人の平均摂取量は、この基準のわずか0.3%程度。日常的な食事において、過度に恐れる必要はありません。
3. 消化器内科として注視すべき「腸内環境と代謝」への影響
「発がん性」以上に、私たちが消化器専門医として注視しているのは、近年の研究で明らかになってきた**「糖代謝や腸内環境への影響」**です。
- 腸内細菌叢(マイクロバイオーム)の変化 2022年の著名な研究(Suez et al., Cell)では、人工甘味料が腸内細菌のバランスを変化させることが示されました。特にサッカリンやスクラロースで血糖制御(耐糖能)の悪化が顕著でしたが、アスパルテームも腸内細菌叢の変化を引き起こすことが確認されています。
- 2型糖尿病リスクとの関連 フランスの約10万人を対象とした大規模調査(NutriNet-Santéコホート研究, Diabetes Care 2023)では、アスパルテームを多く摂取するグループにおいて、2型糖尿病の発症リスクが有意に上昇するというが報告がなされました。
- WHOによる最新ガイドライン(2023年) WHOは「非糖質系甘味料(NSS)に関するガイドライン」を公開し、**「体重管理や生活習慣病予防を目的とした人工甘味料の使用は推奨しない」**という強い見解を示しています。
「これまで『カロリーゼロだから安心』と考えられてきた人工甘味料ですが、近年の研究成果により、その付き合い方を再考すべき段階に入っていると言えるでしょう。
砂糖の摂りすぎを抑える一助にはなりますが、長期的な健康維持や生活習慣病の予防という観点からは、人工甘味料に過度に依存せず、水やお茶などの自然な水分補給を基本とすることが、消化器内科医としての推奨です。
4. 当院からの健康アドバイス
健やかな消化器と代謝を維持するために、以下の「賢い付き合い方」を推奨します。
- 「依存」を避ける: ダイエットの補助として、適度な量に留めましょう。
- 自然な水分補給: 水やお茶など、添加物のない飲み物を習慣に。
- 定期的な検査: 糖尿病やメタボが気になる方は、血液検査やエコー検査でのチェックを。
5. 町田で胃・大腸内視鏡検査をお探しの方へ
当院では、胃・大腸内視鏡検査(土、第1,3日対応・同日検査可能)を実施しております。 「最近お腹の調子が悪い」「生活習慣病が心配」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
