「寝不足は万病のもとだけど、寝すぎも寿命を縮める」……そんな話を聞いたことはありませんか? 実は、睡眠研究はここ数年で大きくアップデートされています。最新の知見をもとに、私たちが目指すべき「理想の眠り」について解説します。
① かつての定説:グラフは「U字型」で7時間が黄金
2010年代までの大規模調査(主に欧米)では、睡眠時間が短すぎても長すぎても死亡リスクが上がる**「U字型」のグラフ**が一般的でした。これにより、「7時間睡眠が最も健康的で、8時間以上は寝すぎ」という説が定説となりました。
② 古典的なエビデンス:Jカーブの存在
日本人対象の大規模コホート(JACC Study、JPHC研究など)で、睡眠時間と全死亡・心血管死亡の関係はJカーブを描きます。
最適:6.5〜8時間(特に7時間前後)が死亡リスク最低。
短時間睡眠(6時間未満、特に5時間以下):心血管疾患(高血圧・心筋梗塞)、糖尿病・肥満リスク上昇。交感神経過剰、インスリン抵抗性悪化が主な機序。
長時間睡眠(9〜10時間以上):脳卒中・全死亡リスク上昇(JACC Study(2009年報告)では脳卒中死亡1.5〜2倍、JPHC研究(2021年報告)で10h以上で1.7〜1.8倍)。日本人では欧米より長時間睡眠の悪影響が顕著に出やすい傾向。
③ 最新の解釈:長時間睡眠のリスクは「逆因果」が一部関与
2025年の国際メタアナリシス(79研究統合、GeroScience)では:
- 7〜8時間睡眠が基準。
- 短時間(<7時間):死亡リスク14%増(HR 1.14)。
- 長時間(≥9時間):死亡リスク34%増(HR 1.34、特に女性で強い)。
長時間睡眠のリスクは**「長く寝るから病気になる」ではなく、「潜在的な疾患(うつ、がん、心不全、睡眠時無呼吸など)で長く寝ざるを得ない」**という逆因果の影響が大きいと指摘されています。ただし、疾患調整後もリスクが残る研究が多く、完全に「害なし」とは言えません。
- 健康な人が休日などに8〜9時間規則正しく寝る分には、大きな問題になりにくい。
- しかし急に10時間以上が続く場合、または日中強い眠気・疲労がある場合は、体調不良のサイン。早めの受診を。
睡眠の「質」と「規則性」が鍵最近の研究(UK Biobankなど)では、**睡眠時間より「規則正しい睡眠リズム」「質の良い睡眠」**が死亡リスクの強い予測因子。長時間でも不規則・中途覚醒多ければリスク高く、短時間でも質が高ければ問題少ないケースあり。
結論:2026年現在の最適睡眠
目安:7〜8時間前後を基本に、自分に合った範囲(6.5〜9時間程度)で規則正しく・質を重視。
数字に縛られず、日中の集中力・気分・体調で判断。
睡眠時間が極端(5時間未満 or 10時間超)が続く、または質が悪いと感じたら、睡眠専門医やかかりつけ(当院含む)に相談を。
無理に早起きせず、でも「寝すぎ」を甘く見ない。質の良い睡眠で、健康長寿を目指しましょう!無理な早起きは禁物。
ただし、「急に10時間を超える睡眠が続くようになった」という場合は、隠れた体調不良やメンタルヘルスのサインかもしれません。
ちょっと一息:世界最高齢のジョナサンに学ぶ ちなみに、世界最高齢(193歳!)の動物として知られるゾウガメのジョナサンは、1日16時間も眠るそうです。人間が真似をするのは難しいですが、彼のような「低ストレス・爆睡」の精神は、長寿の秘訣として見習いたいものですね。

消化器内科からのワンポイントアドバイス
質の良い睡眠には、胃腸の休息も不可欠です。寝る直前の食事は「逆流性食道炎」の原因になり、睡眠の質を著しく下げてしまいます。理想の7〜8時間を深く味わうために、お食事は就寝の4時間前までに済ませておくのがおすすめです。
町田近隣で「しっかり寝ているのに疲れが取れない」「胃腸の調子が悪くて眠りが浅い」と感じる方は、お気軽に当院へご相談ください。当院では**胃カメラ(内視鏡検査)**などを通じ、睡眠の質を低下させる消化器疾患の早期発見・治療にも注力しています。町田駅北口からすぐの環境で、皆様の健やかな眠りと胃腸の健康をサポートいたします。
